柿渋 情報局 kakishibuーInformation-Bureau プランニングとネットワーク創りの㈱柿渋プラネットが運営しております |
![]() |
スマホの方は画面を横にしてご覧ください
柿渋と柿の種類
柿渋の歴史
|
柿渋の歴史青い未熟の渋柿の実を搾汁し、発酵熟成させた物が柿渋で、平安時代より様々な用途で庶民の生活と文化を支えてきました。特に江戸時代には全国的に生産されるようになり、江戸の町には柿渋を扱う「渋屋」が軒を並べて商売を行っていました。 その後も、第二次世界大戦までは、様々な分野で日本人の生活を支えてきましたが、戦後の急激な石油化学製品の発達により、急速に需要が減退し、殆ど忘れられた存在となりつつありました。 しかしながら、グローバルに環境問題が叫ばれる21世紀を迎え、今また、その素晴らしさが見直されてきました。 柿渋の歴史を探る
新聞記事などから当時の柿渋事情を垣間見ることができます。 |
「新型コロナウイルス不活化に効果がある」という実験結果が奈良県立医大伊藤利洋教授らによって発表されました。。 実は奈良県は柿の一大産地であり、20年ぐらい前から県の主導で廃棄される柿の有効活用という観点から研究がなされておりましたが、これは正確に言えば柿渋ではなくて柿の渋、つまりカキタンニンをさしております。 柿果汁を発酵させることなく、特殊製法で高分子だけを取り出したものを柿渋と呼んで、主に食品関連を中心に研究開発が行われています。 今回はその一環ということでしょう。 そもそも、主成分たるカキタンニンの性質の一つに収斂作用(しゅうれんさよう)があります。 収斂作用とは、タンパク質を変化させることにより、組織とか血管を収縮させる作用で、昔から下痢止めとか火傷、中風などに効果があるとされたのは、この収斂作用のなせる業だったのです。 現在でも、肌を引き締める化粧品に利用されたり、歯周病予防にも効果があるとされています。 方や、ウイルスは核酸とそれを覆うたんぱく質の外被から構成されていますので、カキタンニンがウイルスのタンパク質に取り付いて収斂作用によって不活化させることは理論的には十分理解することができます。 そもそも、カキタンニンは分子構造が複雑で不安定な為に、なかなか研究が進んでいませんでしたが、ここ数年来研究が進み、特にウイルス関係ではノロウイルスの不活化に有効性が認められ、アルコール液にカキタンニンを加えた商品まで発売されました。 又、その後の研究では、ウイルス全般に対して、一定の有効性が認められるという認識が出来上がっているようです。 しかしながら、今回は新型のウイルスですので、今までの研究成果がどの程度有効かということがポイントでしょうね。 ノロウイルスの時は、NHKの「あさイチ」で大々的に取り上げられるなどして、一時パニックになりましたので、今回も同じ轍を踏むような異常事態にならないことを祈ります。 |
![]() |
|
|
|
|
現在、市販されている物はその製造方法から何種類かに分類する事ができます。①伝統的な自発発酵製法による昔ながらの柿渋
青い未熟の渋柿の実を搾汁してできた果汁を自然発酵させたもので、発酵過程で発生した様々な有機酸系物質が混ざり合って独特の悪臭があります。 |
1)柿渋の色時々、柿渋をご存じない方から「どの様な色があるのですか?」とのご質問を受けることがありますが、基本的にブラウン、茶系色です。酸化することにより徐々に茶褐色に発色していきます。特に紫外線によって酸化作用が促進され、発色を速めますので、昔から染のマニュアルとして染色後に日に当てるようにと言うのはこの理屈の為です。 又、高い温度によっても発色が促進されますので、陶芸の釉薬としての利用も面白いのでは」ないでしょうか。 繰り返しますが、必ず茶系に発色します。 無色透明とか、カラフルな色をした純粋な柿渋塗料とか柿渋染めなどは存在しませんので、ご注意下さい。 2)柿渋での色対応茶系のみですので、他の素材を使用してその色合いを変化させる方法が採られてきました。①媒染一般的な草木染めと同じ様に、媒染剤を利用してその色の変化を楽しむことができます。但し、その方法は後媒染が一般的です。 即ち、最後の水洗いの段階で、薄い媒染液に浸して変色させます。 代表的な物としては鉄媒染とチタン媒染があります。 a)鉄媒染鉄分に敏感に反応して黒くなるのが柿渋(カキタンニン)の特徴で、昔からその性質を上手く利用されてきました。柿渋の濃度と鉄媒染の濃度によって、薄いグレーから濡れ羽色の黒まで様々な色合いに変化します。 b)チタン媒染あまり知られてはいませんが、柿渋はチタンに反応して黄色系から綺麗なオレンジ系の色になります。c)アルカリ処理弱アルカリ処理をすることにより若干の色の変化を起こし、酸化作用が抑制されますので、急速な色の変化を抑える効果がありあます。 又、風合いも若干柔らかくなりますので、拘りの柿渋染をされている方などは後処理としてアルカリ処理をされています。 材料としてはソーダ灰が一般的ですが、身近で手に入る材料としては重曹があります。 ②顔料化学物質とは馴染みませんので、有機系物質が含まれていると分離してしまいますので、顔料を使用する場合には無機系の物に限られてきます。 その点からか、昔から弁柄(ベンガラ)が良く使われてきました。 昔の町家の黒っぽい窓枠などは柿渋にベンガラを混ぜて使用された色です。 その他、墨や松煙を混ぜ合わせても、独特の良い色合いに仕上がります。 3)柿渋の風合い(硬さ)カキタンニンが表面に皮膜を張る為に硬くなるのが特徴です。そのことで、塗料として使用した場合には補強材・防水材としての効果が伴う訳ですが、 他方染料として衣服などに使用する場合にはその硬さが欠点とされる場合があります。 この硬さを緩和するには、液を薄くして染め回数を増やして発色させることや、 その都度十二分に水洗いを繰り返すことによりある程度の効果があります。 又、市販の柔軟剤を使用しても効果があります。 4)柿渋の臭いと無臭柿渋柿多冨そもそも基本的に発酵物にはキツイ臭いがつきものですが、ご多分に漏れず独特の悪臭があります。店頭で購入された柿渋をご存知でない方が家に帰ってから容器の封を開け、その独特の臭いにビックリされて、 「これ腐ってます」と言ってお店に返品に来られ、対応した店員さんも「そうですね」って対応されたと言う笑い話もあるくらいです。 主成分である柿タンニンそのものは無臭です。 あの独特の悪臭の臭いの元となる犯人は、発酵工程に於いて発生する酢酸・オウロピン酸・酪酸など有機酸系の不純物なのです。 特許製法により、その不純物を取り除くことに成功し、画期的な無臭柿渋柿多冨が誕生しました。 今まではその悪臭を嫌って敬遠されていた方にも、これからは安心して親しんで頂けるようになりました。 5)柿渋染め製品の洗濯方法と脱色方法 他の草木染め天然染料に比べて堅牢度が強いのが特徴です。 柿渋染繊維製品の洗濯方法な無蛍光染料を使用した手洗いが標準的な取扱い方法になると思います。 尚、ドライクリーニングの場合には使用される薬剤と反応する危険性がありますので、十分にご注意下さい。 又、脱色すぬには塩素系漂白剤の使用で可能かと思います。 ちなみに市販されているカビ取り剤での脱色が確認されています。 このページのTOPに戻る |
濃度と塗布・染色回数と経時変化で色あいが変わってゆきます。 当初はあまり発色しませんが、時間とともにゆっくりと発色してゆきます。 各々原液で、右から無垢 1回塗り 3回塗り 5回塗り
|
ここ数年来、効果効能が注目され始め、柿渋○○なる様々な商品が世間を賑わわせておりますが、柿渋の力=カキタンニンのパワーということになります。 そもそも植物はすべてタンニン質も持っているのですが、その中でも一番の高分子なのがカキタンニンとだと言われてます。 その柿タンニンが発酵作用により、更に一段とパワーアップされ、その力が発揮されることとなるのです。 その主なもの ①防水・補強
カキタンニンを塗布すると酸化してかたまり強固な塗膜を張り表面を保護するので、防水効果・補強効果があり、昔から塗料として利用されてきました。 |
上記した様な特性、効果効能等を利用して、昔から現代まで様々な用途で庶民の生活や文化を支えてきました。1)塗料(木材に塗る)
木材に塗布すると、表面にカキタンニンによる硬い強固な皮膜が出来ることにより、防水、腐食を防ぐ効果が期待できることから、家の柱、樽や桶、床下などに盛んに使用されました。 |
グローバルな動きとして、行き過ぎた石油化学製品への依存からの脱却が始まっています。 その一例がレジ袋の有料化とかエコバックの推進です。 又、2030年に向かって、SDGsも歩き始めています。 時代は動き、確実にフォローの風が吹き始めているのではないでしょうか。 1)柿渋とSDGs自然にある資源を長い期間維持し、環境に負荷を掛けないようにしながら利用してゆくという精神にぴったりしている。例えば、サスティナブルファッションの世界では柿渋は染料として大いに活躍の場が広がる可能性を秘めています。 2)柿渋とハンドメイド
高齢化社会を迎え、ハンドメイド(手作り)が少しづつ増えつつある中で、スマホ文化の発達も伴いヤング世代にもハンドメイドが拡がり、例えば一閑張りは急速な広がりを見せみせ、Pinterest、ninne、mercari、iichi等で人気となっています。 |
①柿渋の力 京都府立山城郷土資料館 ②柿の民俗誌 今井敬潤著 初芝文庫 ③柿渋 今井敬潤著 法政大学出版局 ④健康食 柿 傍島善次著 農文社 ⑤柿の話 岐阜県本巣市糸貫町富有柿センター ⑥柿渋クラフト 寺田昌道著 木魂社 ⑦発酵 小泉武夫著 中公選書 |
柿渋は原液のままで使用するのでしょうか?
原液でも希釈しても使用出来ます。 |
大阪市中央区本町4-7-16 tel:06-6121-2804 fax06-7739-5388 mail:info-bureau@kakishibu-planet.co.jp 代表取締役社長:中村 修次 アクセス:大阪メトロ御堂筋線本町駅下車徒歩3分 このページのTOPに戻る |
![]() |