水商売の語源は柿渋とウイスキーの水割り説等の柿渋雑学集/豆知識

柿渋に纏わる豆知識/雑学を集めました

柿渋雑学イメージ

柿渋は古くから我々の生活に関わってきましたので、様々な話しが伝わっています。話しのネタに如何でしょうか?



    
水商売イメージ

水商売の語源は柿渋?

水商売の語源・由来については諸説ありますが、その中に、柿渋が水商売の語源になったという説があることをご存じでしょうか?
柿渋全盛期の江戸時代の話になりますが、江戸の町中には渋屋と呼ばれる店が軒を並べていました。当時は店頭で柿渋を水で希釈して販売されていましたので、その水加減で利益が変わることから水商売と揶揄されてました。
明治から大正時代へと移り代わり、新たに登場したカフェなる店でもアルコールを扱う店が増え始め、更には、女給さん達が接客するスタイルが登場します。特に関東大震災後に、急激に接客するスタイルが増えた様です。当時、女給さん達が、ウイスキーの水割りを作って接客するので、その濃い薄いで売り上げが変わることから、ある人が、「水で薄める君たちも柿渋の渋屋と一緒で水商売だなあ」と言い、ここから、水商売と呼ばれ始めた様です。それが、いつしか拡がって定着していき、時代が変わると、アルコールを伴うカフェはキャバレーやクラブとなり、女給さんはホステスさんと呼ばれるようになります。そしてホステスさんの職業を水商売と呼ばれる様に受け継がれてゆきました。略して、お水と呼ばれ、化粧の濃い女性を、お水系と表現された時代もありました。又、2000年を挟んで、タイトル名もズバリ「お水の花道」なるホステスの世界を描いた連続テレビドラマも放映されて、大変人気になりましたね。それが時代と共に変化して、いつしかホステスさんではなく、女性スタッフさんと呼ばれるようになり、今ではホステスは完全に死語状態で、代わりに、水商売という言葉は、飲食業全般を指す言葉としてに広く使われるようになった様です。以上、如何だったでしょうか?諸説ある中で、これが一番具体的で結構説得力があるように思われます。

    
柿渋貯蔵タンク

柿渋の臭いとエピソード

本格柿渋には発酵独特の悪臭があり、現代社会での拡がりの足枷となっていました。柿渋が臭うのは主成分のカキタンニンではなく、発酵工程に於いて発生する不純物の有機酸系物質が原因なのです。そもそも臭いは色々なモノが混ざりあうと悪臭になります。例えば良い香りの香水でも混ざりあうと却って変な臭いになり逆効果になり場合がありますよね。柿渋の悪臭も発酵により時間と共に様々な有機酸系物質が発生し、それらが混ざりあって、あの独特の臭いになるのです。今から20年位い前の話しですが、大手クラフト店で初めて柿渋を購入されたお客様が翌日「これ腐ってますけど」といって返品にこられたそうです。すると商品知識のなかったスタッフが「そうですね」って交換に応じたのですが、又翌日に「これも腐ってます」って再度来店されて、という笑い話の様なエピソードがありました。又、百貨店の手づくり品の催事で柿渋染め作家さんによる実演が始まると、やがてフロアー全体に悪臭が漂い、催事が一時中断される騒ぎとなったり、内装に拘って柿渋塗装を施したところ臭いが抜けなくて飲食店の新規オープンが延期になったとか、マンションのベランダで柿渋染めを干していたら、近所の通報でパトカーが富んできたとか、まあこの手のエピソードには事欠きませんね。

    
柿渋染めマスク

柿渋染めマスク福面が日本初のマスク

世界遺産の石見銀山で坑内の粉塵予防に使用されていたものが日本で最初のマスクだと言われています。シルクの布を柿渋で染めた物で、福面と呼ばれていました。

詳しくは柿渋染めマスク福面のページをご覧ください。

一閑張り

柿渋と一閑張りの語源

竹籠などに和紙を貼り、上から柿渋を塗ったものが一閑張りとして人気があります。その一閑張りの由来には諸説あり、中国から渡来した飛来一閑が伝えたという説が有名ですが、閑張りが語源だと言う説もあります。農閑期に柿渋を使ってザルや籠を修復したことから閑張りと呼ばれたようです。飛来一閑は漆工芸家なので、今の柿渋を使う一閑張りは、閑張り説が正しい様な気がしますが、如何でしょうか?


入浴イメージ

柿渋石鹸と牛乳石鹸

柿渋石鹸、柿渋シャンプ等が溢れかえってますが、柿渋で石鹸、シャンプー等は造れません。柿渋から抽出されたカキタンニンが少量含まれた消臭剤が、更に微量に含まれているだけです。そもそも石鹸は90%以上が石鹸素地と言われる物で出来ていて、残りの数%に何を使用するかで決まると言われています。手作りで個人的に使用する場合は別として、市販品は決められた素材以外は使用できません。その中にカキタンニンは含まれていますが、柿渋は含まれていません。成分表をよく見ると、その他大勢の中にカキタンニンの表示があります。又、物理的にも石鹸素地はアルカリ成分なので、酸性の柿渋をそのまま使うとカキタンニンが多すぎて、お互いが反応しあって上手く造れません。当初は石鹸用に何社かサンプル造りに挑戦されましたが、結局上手くいかなくて、こちらからカキタンニン入りの消臭剤をお勧めした経過もあります。
まあ、言うならば、あの有名な牛乳石鹸と同じですね。牛乳石鹸も牛乳が使われているわけでは在りません。牛脂という成分が使われていますが、こちらはハッキリと表示されています。まあ、牛脂石鹸では売れなかったでしょね。同じように柿渋石鹸もカキタンニン石鹸ではヒットしなかった事でしょう。

柿渋石鹸御殿イメージ

柿渋石鹸御殿が建った?!

柿渋石鹸ネタをもう一つ。柿渋石鹸が始めて登場したのは10年目ぐらい前でしょうか?丁度マスコミで加齢臭が話題になった頃で、その加齢臭に効果があるという触れ込みでヒット商品となり次々に新商品が登場して、アッという間に100円ショップに並ぶようになりました。最初は確か1000円を超えていたと思いますので、先発組は笑いが止まらなかったでしょうね。全国に柿渋石鹸御殿が何軒も建ったという噂も流れました。


干し柿

柿渋は抜けません(柿の渋抜き)

「地元の小学生達が柿渋抜きを体験しました」の新聞記事を目にしてびっくりしました。柿渋は抜けませんから、抜くのは柿の渋です。渋柿の渋抜き体験と表現して貰わないと困ります。しかもこれが所謂5大紙ですからね、思わず笑っちゃいましたね。渋柿が渋いのはカキタンニンが口の中で溶け出すからです。渋抜きとは、そのカキタンニンを不溶化させる行為で、干し柿にしたり、アンモニアガスを使うのが一般的です。

明荷

柿渋と大相撲(明荷)

柿渋は大相撲の世界でも裏方として活躍している可能性が在ります。それは明荷に使われているとの説もあるからです。明荷とは化粧まわし等身の回り品を入れて持ち運ぶ行李の事で、関取以上が持つことを許されている物です。竹で編んだカゴに和紙を張り合わせて漆で仕上げた漆工芸品で一閑張りの一種ですね。これに柿渋が使用されているとの情報もあります。元々、漆が高級品でしたから、漆器の産地によっては漆の下塗りに柿渋が使用されいましたから、その可能性は十分にありますね。案外、一貫張りの語源はここにあるかもしれませんね。

日本相撲協会HP参照 ウィキペディア参照

日本地図

柿渋の三大産地

日本には色々 な三大○○がありますが、柿渋にもありました。柿渋の三大産地と言われていました。広く現在の都道府県で言えば、京都府、岐阜県、広島県です。京都は山城地区の山城柿渋、岐阜県は美濃地方の美濃渋、及び広島県東部の備後地区の備後渋です。現在でも柿渋が造られているのは、略、この地域だけです。
特に、京都の南山城地区にある専業メーカー3社の寡占状況にあり、一部は岐阜揖斐池田町にある2社の兼業メーカーでも伝統を守って継続されています。備後柿渋は完全に途絶えていましたが、最近、尾道で製造が復活しました。

柿渋染め

済州島の柿渋染め

「済州島にいってきましたの。お土産に柿渋染め、珍しいでしょ」
「いえいえ、柿渋染めは日本にもありますよ、というか柿渋染めは日本の文化ですよ」こんな会話が交わされた時期がありました。いや、今もあるかもしれんが、2003年の冬ソナタから韓流ブームで火がついた頃は、日本でもまだ柿渋染めの認知度は余りありませんでしたので、柿渋染めをご存じなかった方が、これは珍しいということで、お土産に選ばれたようです。確かに韓国、特に済州島には柿渋染め的な文化はありますが、これは、正確に言えば、柿の渋染めと言われるの物です。毎年夏のシーズン中に限って青柿の搾りたての果汁を使用するもので、発酵させる事はありません。ですから発酵させない分、カキタンニンのパワーが弱いので、何回も何回も重ね染めして、強い直射日光に当てて、発色させる手法です。日本でも、青柿染めとして行われています。そもそも、韓国語に「柿渋」という言葉は存在しないと思います。

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