昭和29年に勃発した人権闘争として歴史に名を遺す事となった紡績会社の労働争議を描いた三島由紀夫の名作「絹と明察」をご存じでしょうか?
昭和46年、縁あって、そのモデルとなった繊維メーカーに入社した主人公が、時を経て喜寿を迎え、久し振りに故郷の岐阜市を訪れ、鵜飼の文化に触れながら入社試験社長面談の想い出を回想するところから始まります。
続・絹と明察は、絹と明察に登場した駒沢紡績に入社するという奇想天外な設定で始まる私小説で、時に子供時代や学生時代のエピソードを交えながら、入社早々から40歳の秋に大阪本社支部長を退任して非組合員になるまでの約20年及ぶ、会社の仕事と組合活動の2足の草鞋を履き続けた人生が描かれて行きます。
更に、柿渋との偶然の出逢いも、実は必然的であったと思わせる様な流れとなっていきます。